しかし、大事な話をする時はそんな事も言っていられませんので、頑張って話をされるのです。 その代わり、凛とされたアリス様が怠気のアリス様に戻られると、少しの間グッタリとされます。 アリス様は疲れる事を御嫌いになられるので、滅多にこの姿を見られる機会が無いという事です。 しかし、この後アリス様はある御方達と会う予定になっておられます。 少し前にお電話はされていましたが、きちんとお会いになるのは愚妹が愚かな事をした少し後なので、三年ぶりくらいになりますね。 今回の勝負が決まってすぐ、アリス様はその御方達と会う事を決められたのです。「かしこまりました」 私はそう言ってアリス様に頭を下げ、目的の所までアリス様の御供をさせて頂くのでした――。2「お久しぶりです、アリスさん」「また大きくなられましたね」 そうおっしゃられて、アリス様とついでに私も出迎えてくださったのは、優しそうなお顔をされた中年の男女です。 この御方達は西条財閥のトップで――西条雲母さんのご両親になられます。 男性の方が西条社長で、女性が夫人になられます。 西条社長の性格はお顔通りとお申しますか、とてもお優しく社員思いの方だと、業界でも有名な御方で――日本三大財閥のトップをはられる御方達の中で、唯一マトモな御方です。 アリス様のお父様と紫之宮財閥のトップである紫之宮社長は、社員の事など考えもせず、周りの人間を食い物としか考えてないのです。 寧ろ、日本を背負って立つ企業のトップをはられる方としては、西条社長の様な御方が珍しいと思います。 そんなご両親に育てられたのですから、アリス様と同じ学園に通われておられた、西条さんが優しい御方に育ったのも頷けます。 しかし、そんな優しいお二方が、西条さんが学園から逃げて帰られた際に叱責し、条件を出して勘当をするとまでおっしゃられました。 心をボロボロにされて家に逃げ帰った西条さんにとって、優しかったご両親にそんな風に叱責を受けたのであれば、あの様に変わられても仕方ないのかもしれません。 偉大な御方であるアリス様でさえ、その言葉を聞いた時は驚かれたものです。 まぁ西条社長達が西条さんにそんな風に接したのにも、わけがあるのですが……。