慌てて、バイクに跨がり彼女を迎えに行くと、既にプリムラは街道で待っていた。「御免よ、プリムラ」「いいえ――崖で作っていた物は完成しましたか?」「まぁ、おおよそな」「よっ! 旦那!」 今日もプリムラの護衛――ニャメナが一緒だ。「今日も遊びに行っていいかい?」「言っておくが、もうお客さん扱いはしないぞ?」「はは、解ってるよ旦那」 ニャメナと一緒に家へ帰り、出来上がった足場を彼女に見せた。「こりゃ一体なんだい?」 ニャメナは一言漏らし、足場へ走っていくと鉄棒の蹴上がりのように次々と上に登って、こちらを見下ろしている。 どうも獣人は、この手の物を見ると登らずにはいられない種族のようだ。「そこから、上の崖に登ろうと思ってな!」 足場のてっぺんにいるニャメナに声を掛けると、彼女が飛び降りてきた。 身の軽さがもの凄いな。特撮無しでアクション映画を見ているような感じだ。「上に登るって?」「この崖の上に登った話って聞いた事があるのか?」「いや、ないねぇ。大体、どうなっているのかも解らないし」「上にも森があって、あそこの滝はこの高地だけの水で潤っている。そして――多分、何処にも繋がっていないから魔物もいない」「なんで、そんな事が解るんだい?」「魔法を使って空から見たからな」「はぁ……?」 ニャメナが呆れたように、掌を上に向けた。俺の言う事を信用していないのだろう。「あの……ケンイチ」「なんだい、プリムラ?」「前々から聞こうと思ってたんですけど……こういった鉄の管やらが、沢山アイテムBOXの中へ入っているのですか? それに、私達が毎日食べている柔らかいパンとか――」「さすがプリムラ、気がついてしまったか……実はな、俺が魔法で作り出しているんだよ」「パンをですか……?」「そう」 彼女も俺の言葉を信用していないような顔をしているのだが。