山本亭を堪能した僕らは、店員さんに挨拶をしてから外へ出ることにした。やはり空には青空が待っており、梅雨時期を乗り越えたからこそ気持ちよく感じられるものだ。 午後を過ぎると少しだけ暑さは和らぎ、入ってきたときとは異なる清涼感を僕らは感じていた。「んーー、すっきりしたわ! たまにはまるで異なる世界を見るのも素敵ね」「うむ、風情というものを感じる有意義な観光じゃったな。……しかしこれで100円とは、わしの金銭感覚が狂いそうでもある」 まあ、地域で守っている文化財というのは、そういうものだからね。そのぶん気軽に何度でも訪れてください、という意味があるんじゃないかな。 最近まで大きな補修をしていたようだし、収益は全てそこへ使っているのかもしれないよ。「じゃあ、最後に写真を撮ろうか。2人とも、山本亭は何点だったかな?」「んふ、100円だけに100点っ!」 おや、まさかエルフさんの駄洒落を聞けるだなんて。 がはっ!とウリドラは下らなさにお腹をかかえて笑い、顔を赤くしたマリー共々フィルムに収めさせていただいたよ。 くふう、とシャーリーもたまらず吹き出したのは、どうやら僕の口端を緩ませようとしているらしい。 そのように和の風情や庭園を知るための小さな旅を、皆は満喫してくれたようだ。