「リョウちゃんが見つけた魔法は、まだどんな魔法か、全てわかっているわけじゃない。なにか副作用のようなものだって、あるかもしれない。慎重に、少しでも変だと思ったらやめること。約束、できるわね?」「約束します」 私がそう言って、力強く頷くと、コウお母さんも頷き返してくれた。 しかししばらくして眉をひそめて口を開いた。「……アズールちゃんはどうする? 彼女、王国騎士よ。悪い子じゃないのはわかるけど、変装したとしてもウヨーリの正体に気づくわ」「どちらにしろ、アズールさんには、折を見て私から色々伝えるつもりでした。お伝えした時の反応をみて、アズールさんへの対応は考えます」「わかったわ。それじゃあ、行きましょうか」 そう言って、コウお母さんはいくつかの治療道具を抱えた。 私も手伝おうかとも思ったけれど、ウヨーリである私がお手伝いしているのもおかしいよねと思って踏みとどまった。 それにしても、タゴサクさんの創作物であるウヨーリに、まさか自分からなろうとする日が来るとは思わなかった。 ほんとに、何が起こるかわからない。 私は、覚悟を決めて、頭の上にあげていたベールを下ろした。