「ピギイイイ!」「メエエ!」 至近距離にいたフルフルはまともに食らって、吹き飛ばされる。 少し距離のあった子ヤギはかろうじて直撃を防いだが、左前足を負傷した。 俺は水球を支配し続けることに魔力をつぎ込む。必然、防御がおろそかになる。 金色の魔力弾を防ぐために、薄い障壁しか張らない。いや、張れないのだ。 当然のように、障壁は簡単に砕け散る。即座に張りなおす。 金色の魔力弾一つにつき障壁一枚消費する。 障壁を使い捨てながら、俺は水球を動かして獣の体内を探っていった。 その間も金色の魔力弾が俺を襲う。 障壁は簡単に砕け、金色の魔力弾の破片が何度も体をかする。 そのたびに激痛が走った。「これで終わりだ!」 獣の眷族、その魔力の核となるコア。 生物で言うところの心臓近くまで、ついに水球が到達した。 すかさず俺は土まみれの水球を爆発させた。 水神の力。つまり浄化と癒しの力。土神の力。つまり植物など生物を育てる力。 その神の力を帯びた水球だ。 獣の眷族のコアを貫き、砕いた。「GIAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」 厄災の獣の眷族は断末魔の悲鳴を上げる。 傷口から常に発せられていた金色の煙が消え去る。 そして全身が灰のようなものへと変わっていく。「倒せたのでしょうか……」 アルティは警戒しながら剣を構えたままだ。「ぴぎ……」「めぇ……」 フルフルも子ヤギも巨大化を解除せず、身構えている。