ミャレーは、俺みたいな商売をして儲かっているか不安に思っているようだ。 実際には、子爵様の屋敷にあった、中古のアンティーク家具だけで大幅な黒字だからな。 だがそれは、誰も知らないシャングリ・ラの買取査定の話なので皆には内緒にしてある。「なるよ、俺の計算ではなってるし、プリムラからも子爵様へたっぷりと請求がいく」「うぐ……お手柔らかにな」「いや、絶対に取るだけ取るから」「今回の仕事で、最高の褒美は私の身体なのだぞ? それを其方が拒否するから……」「そんなものは要らんし、個人的には至高の障壁ハイプロテクションの魔導書だけで、十分に黒字だ。そのためだけに引き受けた仕事――と思ったら、とんでもない役立たずばかりで、へそが茶を沸かしたけどな」「ヘソにゃ? 何にゃ?」「ああ――え~と、バカらしくて笑ってしまう――みたいな意味か」「それでは、『馬も笑う』でしょうか」 プリムラが、それらしい単語を教えてくれた。「金が無いなら――俺達が住んでいた土地の短期譲渡でもいい」「し、子爵様に伝えておく」「たのむよ」「それから、プリムラ。街へ帰ったら、子爵領の財務を見てやってくれ。絶対に拙まずい事になってる気がする。勿論もちろん、有料でな」「解りました」 飯を食い終わったので、けが人の様子を見に行く。 獣人達の怪我は大した事がない。毛皮と分厚い皮膚に覆われているからな。 だが腕を噛まれた騎士は、少々熱を出しているようだ。痛みでよく眠れなかったらしい。「消毒はしたから、化膿する事はないと思うんだが……これは、やっぱり街へ搬送した方が良いかな?」 街へ戻れば治癒魔法を使える人間がいるからな。騎士なら、そのぐらいの金は持っているだろう。「うう……」「この薬を飲め」「こ、これは?」「解熱と鎮痛の薬だ。とりあえず痛みと悪寒は楽になる」「かたじけない……」 すっかり、しょんぼりとしているな。あの威勢の良さはどこへ行ったのやら。 彼等の馬車で帰らせても良かったのだが、プリムラが自分の店の様子を見たいという事だったので、俺の車で街へ向かう事になった。 工事の日程は、まだ大丈夫で余裕がある。 コ○ツさんを使って大穴を掘り、魔物の死体を埋めた後――。 アイテムBOXからラ○クルプ○ドを出すと少々燃料を補給。怪我をした騎士を乗せて街へ向かう事になった。