見張り、とは言っても村人たちがこちらに入ろうとする動きはない。 目の前で突如繰り広げられた奇跡に、むせび泣いたり、祈りの言葉を捧げるのに必死の様子だった。 リョウ殿は、またしばらくするとそこから出てきて、村人達の奇跡の力による治療を続けた。 休んでは、奇跡を起こし、休んでは奇跡を起こしを繰り返すリョウ殿。 村の人々は、決して、リョウ殿に危害を加えたり、正体を暴こうとする者はいなかった。 それどころか、リョウ殿が現れると、地面に額をつけて迎え、リョウ殿のもうひとつの名前、ウヨーリの名すらつぐむ。 聞こえるのは、すすり泣く声ぐらいだった。 タゴサク殿に渡されたウヨーリの物語の内容を思い出す。