「値段は金貨300枚(6000万円)だ」「大丈夫だ。手持ちはあるから今にでも払える」「「「おおっ」」」 だが、ドワーフ達の表情は冴えない。「何か事情があるのか?」「ああ、あいつを渡すなら、ちょいと仕上げをしたい」「それなら少々待つが……」「いや、仕事で注文打ちがまとめて入っていてな、材料鋼材が足りねぇんだ……それで、同業者に頭を下げるぐらいなら、あいつを潰して材料にしようかと話し合っていたところなんだよ」 なるほど、ドワーフ達の冴えない表情はその心配をしていたせいか。「勿体ない」「俺も腕試しに作ったんで、愛着はあるんだが……背に腹は代えられねぇ」「それじゃ、鉄の材料があればいいんだな?」「まぁな」 鉄か――シャングリ・ラにナイフ鋼材は売っているが……。ちょっとオーバーテクノロジーだし、値段が高い。 ――といいつつ、男爵様には渡してしまったが。 H鋼とか鉄道のレールがいいんだけどなぁ。とりあえず、シャングリ・ラで検索しても見つからず。 後、巨大な鉄の塊とか鋼板っていったら何があるかな……。「あの森猫も、あんたの眷属かい?」「ああ……」 そうだ! 重機の排土板ドーザーブレードはどうだ? あれは鋼鉄だろ? 何も新品を買う必要はない。鋼材として使うなら、錆びてボロボロの中古でいいんだ。 早速、シャングリ・ラで検索を掛ける――あった。2m×0.8m程の中古の排土板ドーザーブレード。 サビサビで塗装も剥げてボロボロだが、火にくべて打ち直すのだから関係ない――値段は10万円だ。「親方、俺のアイテムBOXに材料に使えそうな物が入っている。見てみるかい?」「なんだって?!」 親方と他のドワーフも引き連れて、再び空き地へ。そこへ、シャングリ・ラから買った排土板を出した。「「「おおお~っ!」」」「これが使えないか? 材料は鋼鉄だと思うんだが……」 ドワーフ達が、排土板をゴンゴンと金突で叩いている。