それは、彼にとって当然のこと。極めて自然体で接し、至って普段通りの会話をした。なんら特別視などしていない、いつもと全く同じ彼の行動だ。それが、グロリアの興味を強く惹いた。 彼は、彼女の“初めて”を一度に奪い過ぎたのだ。 ――初めて、嘘偽りなく普通に接してくれた人。初めて、初対面で気味悪がらなかった人。初めて、何も気にせずに会話ができた人。初めて、杖術で完全敗北を喫した人。初めて、本の続きより先が気になった人。 これは、至極当然のこと。あの日あの時、彼女が彼と出会った瞬間から、こうなることは確定していたのだ。 でなければ、彼女はここまで足を運ぶこともなければ、ここまでおめかしすることもない。 決して、恋愛感情などではないが、しかし。 エルフの姫グロリアは、セカンド・ファーステストに心を奪われていた――。