昨年12月、福井市内の自宅で、福井県公安委員会の元委員長で会社会長だった松浦正則さん=当時(77)=を絞殺したとして、殺人罪に問われた妻の米子被告(73)は9日、福井地裁(入子光臣裁判長)で開かれた裁判員裁判初公判で「間違いありません」と起訴内容を認めた。
検察側は冒頭陳述で「強い殺意に基づき悪質」と指摘。米子被告が自宅で寝たきりの松浦さんを介護していたことに触れた上で「負担は重くなく、夫もリハビリに取り組むなど生きる意欲を失っていなかった。短絡的な犯行だ」と強調した。
弁護側は事実関係を争わず「難病を患っていた松浦さんを長く介護し、疲れや不安がたまっていた。短絡的かどうかは経緯や状況を考慮すべきだ」と情状酌量を求めた。
その後、松浦さんの長男の妻が証人として出廷。米子被告について「おとなしいが、責任感が強い人。介護で疲れ切り、無理心中をほのめかしていた」と証言した。
起訴状によると、米子被告は昨年12月23日、福井市の自宅で松浦さんの首をネクタイで絞めて窒息死させたとしている。
松浦さんは福井市の工作機械メーカー会長で、平成16年~20年、3回にわたり県公安委員長を務めた。