「カーティス団長!!」私は大声でカーティス団長の名前を呼んだ。地面に倒れ込んだカーティス団長の瞳は、完全に閉じられていた。血を流しすぎたのか、顔色は青白い。このまま放っておくのは、危険だわ……私はしゃがみ込んで団長の体に手を触れると、不自然に見えないように表層の傷だけを残して怪我を治癒した。団長の意識を覚醒させることもできるけれど、今は必要ないと判断し、自然に目が覚めるのを待つ。私はカーティス団長に触れたまま、エリアルを振り返った。「エリアル、確かに先に剣を抜いたのはカーティス団長ですけど、やりすぎです! いくら病人たちを守りたかったにしても、過剰防衛だわ!」きっと睨みながら責めると、エリアルは動揺したように目を泳がせた。「あ、ち、違います! オレたちが守りたかったのは、大聖女様です! その水色の騎士が突然、悪魔の生まれ変わりのような形相をして剣を抜き、あなた様に向かってきたので、何としてもお守りしなければと思ったのです!!」「へ? わ、私は大聖女ではありませんよ!」思わず否定した後、役割を思い出して言い直す。「あ、いえ、大聖女かもしれませんね。……どうしてそう思ったんですか?」今までの反応からは、エリアルたちが私を大聖女だと思い込んでいる雰囲気はなかった。だから、てっきり、私が大聖女の生まれ変わりという話をまだ聞いていないのだと思っていたのだけど、既に知っていたのだろうか?「暁と同じ赤い髪をしているし、病人たちを見た瞬間、あなた様は病気を理解された表情をしました。その顔を見て、オレは、……オレたちは、あなた様がいつかお戻りくださると約束された大聖女様だと確信したのです」そう言うと、エリアル以下全ての護衛役の住民たちは、その場に跪いた。そうして、地面に両手を付け、頭をこれ以上はないというくらい下げると、謝罪をしてくる。「本当に申し訳ありませんでした!! これほど見事な髪をしているというのに、大聖女様と気付くこともなく行った数々の無礼!! 平に、平にお許しください!!」「許すわけがないだろう!」間髪入れずに、否定の声が入った。