「解りました、ケンイチ様!」 聞こえているようだ。 草を刈り終わったら、アイテムBOXから家と大テントを出す。 アキラたちは大テントで寝てもらうつもりだが、メイドの寝る場所がない。 シャングリ・ラから、同じ大テントをもう一つ購入した。「お~い、ミャレーとニャメナ。天幕を組み立てるのを手伝ってくれ」「おう!」「にゃー」「それでは、私も手伝わせていただきます」 大テントの設営をユリウスにも手伝ってもらう。ぎこちない手つきだが頑張ってくれている彼に声をかける。「いつもすまないねぇ」「それは、おっしゃらない約束でございます」 紋章官をしてる彼は、こんな仕事をやったことがないようだ。「旦那、これってメイド連中の天幕かい?」「そうだ、なにせ10人以上いるからな」 中はかなり広いので、10人ぐらいは寝れると思う。 料理からあぶれているメイドも手伝わせたので、すぐに大テントが立ち上がった。 その隣に、ちょっと小さいテントが一つ。これはユリウス用だ。「ご主人様、すごい立派な天幕ですね。それに組み立てるのが凄い簡単です」「ここに、君たちが寝てくれ。寝巻や毛布がないようなら、こちらで用意する」 メイドたちの話では――俺のアイテムBOXに収納されている、彼女たちの荷物の中に入っているようだ。 アイテムBOXから、荷物が載っているパレットを出して、寝具の用意をしてもらう。「これで、いいか。そろそろ飯にしよう」「こ、こんな巨大なものまで、ケンイチ様のアイテムBOXに収納されているなんて……」 ユリウスが、設営された大テントを見上げている。 貴族たちが使っているような天幕は、こんな簡単には設営できないらしい。「ユリウス――悪いが、この小さい天幕を使ってくれ」「承知いたしました。野宿に比べれば、夜露に濡れないだけでも、ありがたいものです」 彼の言うとおり、夜露に濡れたら、かなりビチョビチョになるからな。 街道脇に作られたスペースで、皆で食事を摂る。 テーブルにズラリと並ぶ美女と美少女たち――なんだか、ものすごい大所帯になってしまったなぁ……。