かわいいって? 昔はそんなこと一度も言ってくれなかったじゃん。照れて言えないのがノートだったじゃん。 わたしをもう好きじゃないの? その女の子に乗り換えたの? 実はそばにいてくれる女の子だったら誰でもよかったの? そんなノートへの不満が次から次へと溢れてきた。 なんで、こんなに悔しいんだろう。 これじゃ、わたしが二度も捨てられたみたいじゃんか。 悔しくて、行き場のない怒りが溢れてきて。 わたしは意地悪をすることにした。 ノートとロズリアちゃんの間に入って、二人の関係をぶち壊してやろうと思った。 ノートがわたしになびいたところをロズリアちゃんに見せつけ、見限らせようと思った。 だから、二人の依頼を手伝うことにしたのに、結局は二人の仲の良さを見せつけられただけだった。 何故かロズリアちゃんはノートに全面的な信頼を置いていて。 わたしなんかが壊せるような関係性じゃなかった。 ……何、それ。 ロズリアちゃんはどうしてそこまで彼のことを信用しているの? モンスターも倒せない。ダガーを忘れるくらいやる気がない。 人の提案を断ることもできないし、弱気な発言だって多い。 どうしてそんな人についていこうと思ったの? 彼のどこに惹かれるの? ノートはわたしのことが好きで。 わたし以外に理解者なんているはずもなかったのに。 いつの間にか、ぽっと出の女に居場所を奪われた。 一体、どうしてこんなことになっちゃったの? こんなのわたしの望んだ未来じゃない。 こんなことなら、村から出るんじゃなかった。冒険者になるんじゃなかった。 見捨てられるくらいなら。こんな悔しさを味わうくらいなら。 村で二人でずっと過ごして、大人になっていく方がマシだった。 何が悪かったんだろう。どこで間違えたんだろう。 もう昔みたいには戻れないのかな……。 今日もわたしはそんな後悔をし続けていた。