「ごめんなさい……」 うつむく彼女の頭を撫でてやる。「まぁ、気にするな。初めてだから仕方ない」「うん……」「にゃー」 ベルがアネモネを慰めるように、黒い身体を摺り付けている。 その後は夕方まで畑仕事――重機を出して堆肥をかき混ぜたりしながら仕事をこなす。 畑にはトマトがなり始めている。もう少しで収穫出来るな。 ------◇◇◇------ ――夕方、街から戻ってきたプリムラ達と皆で夕飯にする。 今日は簡単にパスタにしてみた。だが、長い物やマカロニ、はたまたクルクル状の物は食い物に見えないらしい。 丸い板状のパスタを見せたら拒否反応がなかったので、そいつを使ってみた。 ソースはミートソースで、1号缶というデカい既成品を購入――1500円だ。「あら? 意外と美味しいですわ」「おお、うめぇ! へんてこな料理だったんで、旦那にしては珍しく外れかと思ったが、こいつはいける」「こういう料理は、ここら辺にはないのか?」「ええ、ありません」「これも、小麦粉料理なんだがなぁ」 こういうのを具にして、スープで煮込んだものはあるらしい。 パスタに舌鼓を打っていたニャメナだったが、落ち込んでしょんぼりしているアネモネに気がついたようだ。「どうした、アネ嬢? そんなにしょんぼりして」 彼女に洞窟であった出来事を話した。「何ぃ!? 何で、そんな面白そうな事に俺を誘ってくれないんだよ!」「いやぁ~」 一応、誤魔化そうとしたのだが――ニャメナの矛先はすぐにミャレーへ向かった。「くそ! てめぇだな、このクロ助」「トラ公には関係ないにゃ。それに、あのダンジョンはウチが見つけたものだにゃ」「こらこら、喧嘩するな」 掴み合いをしようとした獣人の間に入って、席に戻らせる。「でもよ~、こんな所に洞窟蜘蛛とはなぁ」 ニャメナの認識でも、この魔物の住処は、もっと森の奥地だという印象らしい。