ぐぎゅーーーー。 あっ! いやだ! 私は自分のお腹を押さえた。なんで、こんな時にお腹鳴るんだ。いや、でもさっきからお腹すいていたけれども! 私のお腹の音を聞いたコウお母さんたちは、少し顔をほころばせた。「あ、そうだった! アタシ食料持ってくるところだったのよー。セキ、あんたも一緒に来なさい。他にも、馬車から色々運び込みたい荷物があるのよ」「ああ、わかった。リョウ君すまない。私が、長話をしてしまったばかりに」「い、いえ。大丈夫、です」 お腹の音を聞かれて恥ずかしくって顔を上げられない。だって、私、淑女だもの。 自分のお腹を睨みつける、もう、人前で音を鳴らすなんて。しかも盛大に! お腹を睨む私の頭上で、そんな私を見てなのか、コウお母さんとセキさんの笑い声が聞こえてきた。