そこから少し離れ、畑の端に転がるのは、大きな鳥の頭。 鳥はこげ茶の目を丸く開けたまま、疑問符を浮かべた顔で転がっていた。「……うむ」 ランドルフは歩みよると、その目をそっと閉じ、開かないようにしばらく押さえる。 その眉間に、微妙に皺が寄った。「どうした、ランドルフ?」「なんというか……少し、自分の中の騎士道がゆらいだ気がした……」 伏せた目で小さく言う彼の背を、ドリノは二度叩いた。「考えるな、忘れろ」 ・・・・・・・「おお! カーク、腕を上げたな!」「焼き物は得意になってきたんで!」 たき火であぶる首長大鳥の肉、火加減を風魔法で絶妙に調整するカークがいる。 遠征用コンロも便利だが、やはり直火の調理も捨てがたい。 隣の畑はちょうど首長大鳥が固めたので、そこに防水布を広げ、遅い昼食をとることになった。完全成功と言える今回の遠征に、ほとんどが晴れやかな笑顔である。 各自、遠征用コンロで焼いたり煮たり、好みで首長大鳥を味わう。 少々、肉質は固いが、肉自体の味は濃い。革袋のワインにもよく合った。 塩に胡椒、ミックススパイスに甘ダレと、味も様々で飽きがこない。「疾風の魔剣、やっぱり凄くいいです! ヴォルフ先輩、これ、同じ物か似た物を購入させて頂くことはできないでしょうか? 分割になると思いますが、なんとしても払いますから!」「その……家で聞いてくるから、少し時間をくれないか?」「無理なお願いだというのはわかっていますので、できればでいいです。これがあれば、俺は今より戦力になれるかと思うので」 カークの願いについては、ダリヤと兄に相談するしかないだろう。ダリヤが作ったとは知らせずにカークに渡せたら――そう考えていると、ドリノが焼けた肉串を取りつつ言った。「いっそさ、ワイヤーをもっと長くして、ワイバーンあたりも真っ二つにできりゃいいのにな」「投擲では限界があるだろう」「そうですね、俺が投げる力じゃ厳しいです。やっぱり身体強化がほしいですね」「……それで、弓を勧められたのか……」「ヴォルフ、今、弓と聞こえたが?」 自分の名を呼んで近づいて来たのは、弓騎士の一人だった。ちょうど鳥肉を運んでいて、横を通るところだったらしい。 ヴォルフには先輩にあたる隊員だ。「はい、矢に風魔法を付与すれば、よりいいんじゃないかという案もあったので。でも、二人同時に放つとか、二本同時に射るのは難しくないですか?」「一人でかまわん。剛弓に変えて二本矢つがえで練習するなり、なんとでもする! カークの投擲より、弓を射る方が勢いもあるし、長距離から狙える。効果は高くなるはずだ」「先輩、お言葉ですけど、俺は風魔法で押してますし、軌道補正もしてますよ」「私は風魔法がないから補正はできんが、命中率はいいぞ。身体強化をかければ大剛弓もひける」「風魔法で軌道補正……身体強化で大剛弓……」