これをやられちゃあ、流石の俺でもマズい。具体的には、シルビアが洗脳にかけられた場合、暗殺される可能性がある。エコとユカリは俺とのステータス差的に問題ないと思うが、シルビアの【弓術】で不意に狙撃された際にはワンチャンあるだろう。「大丈夫、だよ。私がそんなこと、させないから」 考えが顔に出ていたのか、ウィンフィルドがそんなことを言ってくれた。まったく、心強いったらないね。「じゃあ、私、ヴィンズ新聞にたれこんでくる、ね」「あ、でしたら私が……」「いや、いいよ、私が行く」 メイドの気づかいに、あっさり断りを入れるウィンフィルド。そこで、ちらりと俺を見た。なるほど。察した俺は口を開く。「今日は見張りで疲れただろ。ゆっくり休め」「は、はい。ありがとうございます、ご主人様」 メイドたちは皆嬉しそうな顔で俺にお辞儀をして、解散した。 ウィンフィルドは夫を立てる良妻になりそうだ。その代わりに隠し事は何一つできそうにないが。「ありがとな」「いいってことよ、愛しの君」 頬に口づけひとつ、彼女も風のように去っていった。