いち早く気付いたユカリが珍しく顔を引きつらせる。他のメイドたちも若干だが顔色が優れない。サラなんかは「あわわわ」と怯えている。こいつこれが口癖なのかな?「大丈夫だ。俺とシルビアとエコで既に一回訪れているが、二人は問題なく戦えていた。お前らにもできるさ」「そうは仰いましても……」「大丈夫! 俺が付いてる」 少し強めに言ってやると、ユカリたちは渋々納得した。「……っ!? ついた!?」「出発すらしてねえ」 俺の背中で寝息をたてていたエコが、俺の大声でお目覚めのようだ。 まだ着いてないとわかると、また寝ようとする。本当に寝る子と書いてネコだなこいつは。それを言ったら、食べる子と書いてタコでもあるのか……?「エコー、今日はドラゴン相手に斧術を覚える作戦で行くぞー」「さくせん!? あたしにまかせて!」「任せた任せた」 多分、エコはこれで大丈夫だろう。 彼女はなんだかんだ言って天才だ。やるべきことを“作戦”と名付けてテキトーに伝えておけば、後は自分で工夫して自分で要領を掴み自分で全て済ませてしまう。それは俺の的確な指示があってのことだが、同時に彼女の才能があってのことでもある。俺の元へ来たことで、良い具合に歯車が噛み合ったのだ。 さて。それじゃあ作戦会議も終わったところで、いざ出発。