リオがクリスティーナの反応を察して告げた。ルシウスとの戦せん闘とう中に飛行に精霊術を披ひ露ろうしてしまったので、飛べること自体を隠かくすことはしなかった。「……あの、これはどうやって空を飛んでいるのでしょうか?」 クリスティーナがおっかなびっくりと質問する。「風を操あやつって空を飛んでいます」 リオはあえて含がん意いの広い説明を口にする。ルシウスとの戦闘では精霊術を出だし惜おしみせずに使用した。発動した術の種類が多た岐きに渡るから魔剣の能力であると説明するのは無理があるし、クリスティーナを誤ご魔ま化かすことはできないだろう。 ゆえに、精霊術について説明する必要があるのは明らかだが、どこまで説明するかはまだ判断しかねているのだ。「な、なるほど……」 クリスティーナは相槌を打ちつつ、半ば呆ほうけ気ぎ味みに周囲の景色を見み渡わたしている。どこまで詮せん索さくしていいものか測りかねているのか、衝しよう撃げき的てきな事実の連続に思考の処理が追いついていないのだろう。あるいは、その両方か。 現在地は街かい道どうから外れており、見晴らしのいい丘きゆう陵りよう地帯が続いていて、その光景に視線を奪われているようにも見える。「色々と話をしなければいけないこともありますし、お訊きになりたいこともあると思います。恥ずかしながら色んなことが起きてまだ頭の整理ができていないものでして、一息ついてからそういった時間を設けさせていただいてもよろしいでしょうか?」「は、はい……。そ、そうだ、傷口を治癒しますね。まずは、この辺りに魔ま法ほうをかければよろしいですか?」 クリスティーナは現実へ引ひき戻もどされるようにハッと返事をすると、リオの胸むな元もとに回した右みぎ腕うでを伸のばした。血ち糊のりがついた左さ腕わん部ぶに手をかざし、治ち療りようが必要か確認する。「はい。ですが、体勢が厳しければ無む茶ちやはしないでも平気ですよ」「いいえ。大だい丈じよう夫ぶです」