「エルフの栄養食みたいな飲み物が、チョコレートなんだよ。『チェチェ』って言うんだけどな」「へぇ~――そういえば、アキラはエルフとも付き合いがあったんだよな」「色は赤かったが、砂糖を入れると、マジでチョコレートドリンクだったぞ」「それじゃ上手く加工できれば、この世界でもチョコレートが普及するかもな」 ふむ、この情報は王女も喜ぶかもしれない。 カレーを食って、腹も膨れた。やっぱり家族と飯を食うのはいい。「はぁ~親が死んでも食休みってな」 エアマットに寝転がっている俺の上に、ベルが載ってくる。「ベル、重いよ~」「にゃー」「随分と慣れてるな。伊達に本妻じゃないな」「勿論もちろん、なぁ~お母さん」 ベルの顎の辺りを撫でると、ゴロゴロと喉を鳴らす。「本当に大きな猫だなぁ」「声はちょっと低いけどな」 食休みの後、皆で風呂に入った。小屋の中にできた立派な風呂にアキラが驚いている。 すでに、アネモネの魔法でお湯が沸いており、小屋の中に白い湯気が漂う。「すげー! 日本式の風呂じゃん!」「うにゃー!」「中々立派だろ? 本拠地を決めて屋敷を建てたら、真っ先に風呂をつくらないとな」「こんなのも魔法で作り出したり、アイテムBOXの中に入っているのか?」「まぁな」 日本式の風呂に飛び込みたいのか――アキラと一緒に獣人のミャアも服を脱ぎ始めた。 だが、湯船に脚をちょんちょんして、湯加減を確かめている。「ここにタオルと石鹸、リンスとシャンプーも置いておくからな」「至れり尽くせりだな」「まぁ、まだお客さんだし」 俺とアキラが入っても良かったのだが、家族が久々に俺と一緒に入りたいようなので、この組み合わせになった。 そして、風呂から出たあと、ジェットヒーターを見て、再び驚く。「すげー! これに俺の油は使えないかな?」「いけるかもしれないが、電気が必要なんだぞ? 今は、モバイルバッテリーに繋がっているが」「バッテリーに充電した電気はどこから持って来たんだよ?」「ディーゼル発電機や、ガソリン発電機を使ってる。モバイルバッテリーなら、車からも充電出来るしな」「そういう手があったか……」 アキラはチート過ぎると騒いでいるが、そんなことを言われてもな。