「あんっ、ちょっと止めてよ。ツバサが見てるじゃないの」「見せつけているんだよ」「二人共! こんな時に非常識ですわ」 ジュリエッタが冷たい目でガイルを見る。ガイルにはそれが嬉しいらしい。ニヤついている。「なんだよ。嫉妬してるのか?」「冗談じゃないわ! その下品なところは直してもらう必要がありますわ」 ――僕が今まで信じてきたものは何だったんだろう? ジュリエッタ、信頼していたのに……愛していたのに……。 彼の心は崩壊していく。 十六年もかけて培ったものが底なしの穴に落ちていく。 彼の胸には空虚な穴だけが残る。 彼の心は喪失したはずなのに、何故か涙が流れてくる。 それが何を意味しているのか、ツバサ自身にもさっぱり解らなかった――「ガイル、魔法陣を発動して!」「了解! あばよ! 色男!」 ツバサは軽い目眩を感じた――