アルフレッド殿の放った《香車弓術》は、軌道が僅かにズレた貫通矢に当たることはなく。彼はその左肩に《角行弓術》を喰らい、俄かにバランスを崩す。「く……ま、まだだっ!」 が、倒れ伏すことはなかった。恐るべき気力で体勢を立て直し、こちらへ向かって《歩兵弓術》を撃とうとする。「…………」 私は、無言で、《金将弓術》を放った。半径3メートル以内への範囲攻撃+ノックバック。 ……もう、それほどに接近していたのだ。アルフレッド殿は、私の位置を捉えられなくなるほど、ギリギリまで追い詰められていた。それでも、決して膝をつくことなく、最後の最後まで、攻撃しようとしていたのだ。「――っ!!」 ノックバック効果で後方へと吹き飛ばされるアルフレッド殿。 ああ。その、先は……。「場外! そこまで! 勝者、シルビア・ヴァージニア!」